今年5月末に日本法人を作って、ダンス事業をはじめて約半年が経過しました。
いつも私はいろんな事をしてるせいか、まだ半年か、という気持ちですが、また色々状況が変わる前に、振り返ってみようと思います。
なお、ダンス事業を始めた理由はこちら
この記事のターゲットはビジネス界隈なので、こういう事を書くと、またダンサー界で肩身が狭くなりそうだなとは思いますが、よく考えれば新参者の私にダンス界の居場所なんてはじめからなかったので、包み隠さずに、正直に書こうと思います。
結論
結論から先に言うと、大赤字です。
具体的には
・キャスティング→好調
・その他イベント企画→絶不調
という結果で、まあ、やっぱりな、と言う感じですね。
私がこの事業を始めた「ダンサーがダンサーとして活躍できる世界を作る」と言う目的が難しいということをまさに表現するような結果です。
やっぱりこの世界は、ダンス講師、バックダンサー、振付師、演出家、等は需要があるものの、ダンスを踊る事でお金を稼ぐのが難しいんだということが分かりました。
自分の力不足が大きな敗因であることは重々承知ですが、やはり無力な私が一人で何かをしたところで、風すら吹きませんでした。
ただ、個人的に、世界はグッと広がりました。
これが今回の最大の利益だと思っています。
この5年弱、私はIT界隈の人としか関わって来なかったので、新たな世界の方々と関わり、芸能・スポーツ界隈には、こんなにも優秀で、面白くて、自分にはない思考を持った天才たちが、たっくさんいるんだなと毎日刺激が多く、本当に楽しいものでした。
何も知らない私を受け入れてくださった界隈の皆様には本当に感謝しています。
ありがとうございました。
具体的な取り組み
半年間の主な取り組みは下記です。
2019/06
・Yuko Nakamuraさんプロデュース開始
・Yuko Nakamuraさんとの講演会
・Dance PopUp Show 2019準備開始
2019/09
・NYブロードウェイダンサーArisaさん 東京WS
・Yuko Nakamuraさん 大阪WS
・新人ダンサースカウト&プロデュース開始
2019/10
・新人ダンサービデオ撮り4本
2019/11
・Dance PopUp Show 2019実施
・新人ダンサーのプロデュース中止
これが全てではないのですが、書いてみると何もしてないように見えますね。
というのも、弊社は完全自己資本で私が稼いだ資金の一部でこの事業に投資をしているので、投資できる額に限度があるのと、基本は本業のITコンサルを行なっているので割ける時間が少ないというのはあって、あまりたくさん行動を起こせるわけではありませんでした。
そんな中でも取り組んだ事業から、何個かピックアップして深掘りしようと思います。
Yuko Nakamuraさんプロデュース
Yuko Nakamuraさんは私のダンスの先生で日頃から大変お世話になっていることもあり、弊社では彼女がもっと活躍しやすいようにサポートすること、またその結果として彼女に仕事を振る事を目的としていました。
実施したことは、上記に書いたので、課題をまとめます。
ありきたりですが、以下です。
・私の力不足で大きな仕事が取れない
・彼女が売れっ子すぎてほとんど全く仕事を入れられない
・弊社を経由するメリットがない
事務所あるあるですが、売れっ子のタレントを、会社で拘束する理由が見えないというのが最大の課題でした。
そもそもIT界隈で、広告の仕事はあるものの、芸能界隈との繋がりが弱い私には大きな仕事をとる力がなく、仮に仕事を取ってきても、彼女のスケジュールだと最短でも2ヶ月後先。さらにうちを経由するメリットは特にない。
そんな状態で弊社の存在意義を生み出すことはできませんでした。
個人的によかったと思っているのは、微力ながらサポートをすることにより、大好きな先生のダンスを間近でたくさん見られること、また、たくさんお話ができたことはとても楽しいものでした。
正直、会社として彼女のサポートを続けていく意義があるかと言われれば難しいところですが、私は、個人的に彼女のダンスを一人でも多くの人に見てもらいたいと思っていますので、来春にまた関西WSの実施を考えていますし、また彼女が落ち着いたタイミングでキャスティングも頑張れればと思っています。
これは会社経営をしていても思う事ですが、やはり能力の高い人は自分で既に行動をしているので、誰かやどこかに頼る必要がありません。
一緒に仕事をしたいと思う人が自分を求めるようになるには、自分が相当な能力を持っている必要があるなと思いました。
新人ダンサースカウト&プロデュース
Yuko Nakamuraさんが売れっ子すぎて自分が思っていたようなプロデュースや、キャスティング斡旋ができていなかったので、将来有望な若手ダンサーを育成したいと思っており、創業時からずっと新人若手ダンサーを探していました。
実はこの事業を始めてから、若いダンサーさんから、IG等で連絡をいただくことが、よくあって、面白いと思った子には会うようにしていますし、自分もIG等を見ていいなと思った子にはDMをして会うようにしていました。
そんな中で自分がこの子だって思う子を見つけたので声をかけて、彼女は地方に住んでいたので東京に来てもらい、ビデオを撮ったり少しだけ仕事を振ってみたりしました。
彼女を選んだ主な理由は以下です
・言語道断ですがダンスがめちゃくちゃうまい
・どんなジャンルでもそつなく踊れる
・一般的なダンサー志望とは違ってレッスンをむやみやたらに受けたり、舞台に出まくったりしていない
・IGが華やかで自分を魅せることに長けている
・容姿が美しく指示しなくても思ったようにパフォーマンスできる
・家庭環境が良い
我ながら私は伸びる子を見抜く力があるタイプだと思っていたので、なんとなく感覚的にいいなと思った子に、すぐに声をかけ、プロデュース開始しました。
とても良い子でしたが、結果として、プロデュースを開始するまでもない、1ヶ月半でサポートを終了しました。
終了の理由は以下
・ビジネス経験がない若い子にビジネス感覚を教えるのは大変だった
・自分の伝達能力&マネジメント能力のなさ
・PCを持っておらず、買い与えて教えてあげられるほどの財力と時間がなかった
ビジネスに興味のない普通の若い子に、企業との関わり方や、お金をもらうということ、自分を魅せる時に何を意識するか、など分かるはずもなく、それを教育するのが自分の仕事でしたが、私には残念ながら、人と向き合って教育する能力はありませんでした。
特にアーティストという方々は普通の人よりこだわりや世界観が強く、ただでさえ人と関わるのが苦手な私にはとても難しい作業でした。
また流石に彼女の動画編集から何から全てこちらで対応できなかったのですが、PCを持ってないことが判明し、こちらの負担が増大しました。
結果として彼女を現場に出せるほど教育できないと判断し、サポートを終了しました。
自分の力不足で大変申し訳ない事をしたと思いますし、今後も彼女の活躍を応援しています。
Dance PopUp Showの実施
これが最大の難関でした。
反省は以前書いたので割愛します。
ダンス事業を半年間やった感想
「好きを仕事にしてはいけない。」
今回の学びはまさしくこれです。
・そもそも、やりたいこととやるべきこと(向いてること)は違うということ。
・ビジネスにおいて最も大事なことは利益を生み出すことであるということ。
・そして何より、私にとってダンスは小さい頃から現実逃避の場所だったということ。
今回、そのダンスを仕事にしたことにより、私の逃げ場がなくなりました。
人との関わりが苦手な自分が、逃げ場としてずっと踊り続けてきて、これまで下手でついていけなくてもクラスの端っこで楽しく踊るのが趣味だったのに、私のことを知っているダンサーさんが増えてレッスンに行きづらくなってしまったし、舞台に立っている時も、運営側目線で見るようになりました。
また、私は芸能人よりもダンサーさんが好きなくらいダンサーさんマニアだったのに、彼女彼らに近づくと彼らの裏の顔を見ることになり、夢が現実となってしまったこと、
さらにイベントを実施しても、運営側は参加することができません。
私はまだまだ踊りたいし、純粋にダンスを楽しみたいのに、準備や挨拶に必死で自分の思い通りの世界を作っても楽しむことはできませんでした。
今回、自分の舞台の本番で忙しかったりストレスがあったこともあり、私的な感情が混ざっている部分があるとは思いますが、結果として、あんなに大好きだったダンスにすごく疲れてしまいました。
もちろんサポートしているダンサーさんやキャスティング事業でお世話になっている会社様もあるので、今後もダンス事業は事業を縮小しつつ継続していくつもりです。
ただ、来年からは、ビジネスと切り離すために、大阪か地方拠点で踊ろうと思っています。
冷静に振り返ると、我ながらこの半年の自分は、
”頼んでもないのに勝手に来て井戸を作って気持ちよくなって帰るボランティア”
みたいな感じだったように思います。
お金を持って、自分の好きなことを事業にして投資をする。
夢が一つ叶ったなと思っていましたが、思ってたほど求められいたものでも、利益が出るものでもなく、最終的に自分も気分が良くなる投資ではありませんでした。
でも、新たな出会いと学びの多い半年間でした。
この半年間、ご一緒させていただいた企業様、ダンサーさんには本当に感謝しています。ありがとうございます。
事業は縮小し、ご多分に漏れず、弊社もキャスティング寄りにはなっていきますが、今後もダンス事業を細々と続けていく所存ですので、是非ともお力添えのほどよろしくお願いいたします。